コレクションシーズンということもあり日々ファッション系のサイトでは、
2017-18秋冬アイテムのランウェイ画像が解説と共に公開されている。
それらを見るのは面白く、新しい発見に驚かされたり、次に流行るのはどういうテイストか予想するのも楽しい。
ただ一点気になるのが、ブランドアイテムの解説などを読み進めているとかなり横文字が多く、
聞いたことのない言葉を調べても、いまひとつ理解できないことも多々ある。
筆者の知識経験不足だと言われればそれまでだが、業界人がドヤ顔で横文字を使うことに以前から疑問を抱いていた。
今日はそのあたりの内容を書いてみたい。
ファッション系のサイトを頻繁に見るのは業界人、またはそのブランドのファンが大半であろう。
しかし中にはファッションを勉強したい人や、アイテムのデザインを参考にしたい人など、
アパレルとは直接的には無関係だが情報は知っておきたい人も一定数いるはず。
そんな方々も含まれている中で、今の情報の伝え方って正しいのだろうか? 難しすぎるのでは無いだろうか?
と考えていた時、ツイッターでフォローしている方が面白い内容を投稿していたので紹介したい。
今時の若者!
— PREPPY (@Mark20130309) 2017年1月25日
あるプレスルームがアシスタントバイト募集した所、20人を超える応募があった。が、結局採用見送り。
どの子もそれっぽい格好はしてるが、ベースとなるファッションの知識が無さ過ぎて。
買う服はファストファッション、情報はタレントのインスタやまとめサイト、雑誌は読まない… pic.twitter.com/Zv0Kgnlsr4
今時の若者は、と年上の世代がお説教したくなるのは遠い昔からあること。
確かにSNSやまとめサイトだけで全てが補えるわけではないが、それが今時なのだから致し方ない部分もあろう。
海外ブランドに興味がなかったり、雑誌を読まないというのはこの業界を志す上でなんとも寂しいが、
筆者が違和感を感じたのは、はやりものはわかるけど、感覚的ですごく浅い。
の箇所である。
待ってほしい。ファッションとは本来感覚的なものではないのだろうか?
ある服が目の前に現れて「かっこいい」だったり「可愛い」だったり、思わず口から出てしまうことこそではないか?
とは言え、昨今なんでもかんでも「可愛い〜!」を連発する人には飽き飽きする部分もあるが、
感覚的に捉えることを咎める必要なないように思うがいかがだろう? 難しい言葉を使えば深みがあるのだろうか?
かっこいいだの、可愛いだの、安っぽい表現ではなく横文字を使ってそれらしく表現することこそかっこいい−。
ある種の自己満足ではないかと思われるが、それがまかり通っている業界だなと筆者は思うのである。
一例を出してみたい。
こちらにリンクを貼り付けているが、FASHION PRESSというサイトに掲載されているアパレル用語一覧表である。
こんなにも用語があるものかと感じたのが第一印象。知らない用語も案外多い上、
使うシーンを想像すらできない用語もある。
よく見るとほとんどが名詞であることにもびっくりさせられる。
少し前になるが南充浩さんのブログでこれらの用語であったり、言い回しに関して指摘していたので引用したい。
それ以外のブランドやAmazonで見かけるブランドの商品説明文はほとんどが「?」である。
あんな意味の分からない説明文を書いているから洋服が売れないのではないか。
あと商品名も企画担当者の自己満足でしかない短縮形が多い。
あれではどんな商品なのか消費者にはまったく伝わらないだろう。
伝わると思ってるならそれは業界人の傲慢である。
例えば
スライバーニットを使用したスライバーチェスターコート。
適度なふくらみ感がありつつ、軽くて暖かな着心地が特徴の素材です。
スタンダードで洗練されたデザインですのでコーディネートに取り入れやすく、
ワードローブに入れて頂きますと大変便利な1着になっております。
オススメはGジャンやライダースなどの軽アウターの上から、コートを羽織って頂くスタイリングです。
これは実際の通販サイトに書かれてある説明文である。
これを読んでどんな商品なのかわかる人がどれだけいるのか、
これを読んで「この商品欲しい」と思える人がどれほどいるのか。
中略
「説明文は短ければ短いほど良い」なんてことをいまだに信じているなら、
それはお気の毒なことである。洋服が売れなくなった理由は様々あるだろうが、
こういう伝わらない説明文や意味の分からない商品名などという部分も大きいのではないか。
もう、きれいな画像と、雰囲気だけの意味の分からない説明だけで洋服が売れる時代ではないということを
業界人は痛感すべきである。
引用ー南充浩の繊維産業ブログ2017年1月11日投稿
南さんは消費者目線でこのように書かれているが、やはりファッション用語に対して「?」を抱く人は多い。
引用にある「スライバーニット」、スライバーの意味がわからなくとも何かのニットであることはまだ理解できる。
(スライバーニットに関してはこちらへ。)
しかしニットという固有名詞だから判別がつくが、服を形容する言葉にもなると何が何だかわからなくなる。
また具体例をいくつか示そう。
それぞれの用語に解説リンクを貼り付けているので是非見て頂きたい。
初めて聞くとなんの事か想像すらできないし、意味を聞いても「なんとなく」しか理解出来ないのではないか。
「なんとなく」しかわからないものを「それとなく」使って理解を得ようとすることほど傲慢なものはない。
ましてや「このくらいの言葉の認識もないなんて、そんな人にファッションを理解してもらう必要なない!」と、
豪語するブランドがありそうなので怖い。日本国内にそんなブランドがいくつあるか、筆者は知らないが。
一般の新聞記事は中学生でも理解出来るように書くのが良し、とされるということを聞いたことがある。
その分野を専門とする記者が突っ走って記事を書けば、大人でも理解出来ない内容になりかねない。
対象の物事を噛み砕きわかりやすく伝えてこそ、その役割が果たされたと言える。
ファッションの世界はどうだろうか?
ファッションはクリエイティブで他とは違うと理解を得ることに匙を投げるのであれば、未来は無いだろう。
余談ではあるが、筆者が「この人の服に対する形容が分かりやすい!」と思うのが、
MISTER TAILERというブランドを主宰されている新井さんである。
先日たまたま本人にもお会いできたが、物腰が柔らかく落ち着いた方だった。
こちらにリンクを貼り付けておくので是非一度ご覧になることをお勧めする。
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